第42回工業物理化学講習会

- ナノテク最前線II -


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LAST UP DATE: 10/27/2003





講 演 要 旨

1.「電気化学的遺伝子変異診断チップの開発」 

(九大院工)竹中繁織 氏

 生体チップは、DNAやタンパクなどの生体分子を高密度に基板へ集積化したものである。これを用いる ことにより多検体同時並行解析が可能となる。得られた成果は、ガンの早期診断のみならずリスク診断や 細菌・ウイルス検査にも利用できると期待され ている。演者らは、より簡便で迅速測定可能な新しいDNA チップやプロテインチップに関してここ数年間研究を行ってきた。ここでは、演者らの開発した新しい生 体チップを紹介する。

2.「カーボンナノチューブ、ナノパーティクルを中心とした産業応用戦略の最新事情」        

(三菱重工業長崎研)森本立男 氏

 ナノテクノロジーは、ナノメートルの世界で発現するさまざまな機能や特性を利用する科学技術であ り、情報通信、医薬、医療といった最先端分野での進展が期待されるが、個々に発展してきた技術同士を 結びつけ、従来技術の裾野を広げる側面も期待される。ナノテクノロジーの鍵を握る材料と言われている カーボンナノチューブやナノパーティクルを中心に既存の産業分野に浸透しつつあるナノテクノロジーの 現象について紹介する。

3.「Wet Processによる二次元ナノ分子パターンの創成とSTMを用いた高解像度観察」

(熊大工)國武雅司 氏  

 半導体リソグラフィ技術が限界に近づくにつれ、全く新たなナノスケールでのパターン構築法として描 画を必要としない自発的構造パターン形成や分子デバイスの初歩 的モデルと考えられる超分子構造に注 目が集まっている。自発的構造形成(自己組織 化)は、古典的な結晶成長から非平衡開放系での散逸構 造まで多岐な現象が現在では 知られている。こうした現象の解明において、直接その場観察を可能とす るプローブ 顕微鏡は欠くべからざる方法論となっている。特に、電気化学トンネル顕微鏡 (STM)を用 いることで、溶液中で有機分子を高解像度で観察することが可能である。本講演では、電位制御を利用し た界面での吸着現象の熱力学的・または速度論的 制御と分子パターン創成に関する研究を紹介する。

4.「レジオネラ菌から産業汚染物質まで分解できる高強度光触媒繊維」

(宇部興産宇部研)石川敏弘 氏  

 ポリマー中に含まれる低分子量物が表面に出てくるブリードアウトと呼ばれる相分離現象を利用すれ ば、表面に向かってナノスケールで組成が傾斜した表面機能層が容易に形成できる。筆者等は、この自 然現象を前駆体セラミックスに適用することにより、強度特性を担う中心相と、光触媒機能を担う傾斜表 面層からなる高強度光触媒繊維を開発した。本講演では、その新しいプロセスと環境浄化への適用例 等について詳説する。



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