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材料・界面部会設立趣意書

人類の歴史は、材料の創製と利用の歴史であったと言っても過言ではない。特に、20世紀の後半は科学の発展と共に、飛躍的に多くの材料、特に化学材料が生み出され、化学工学もこれらの製造プロセスの開発に大きく貢献してきた。ここでの化学工学の役割は、主にスケールメリットを利用したバルク材料の大量生産であった。これらの物質は確実に人類を豊かにしてきたが、一方で環境汚染の問題も創出した。今後の持続可能な社会の実現のためには、物質の機能を最大限に生かした機能性の高い材料の創製が必要不可欠である。これらの高機能性材料の創製には、新規な分子構造による従来型の「合成」による方法と、自己組織化能のような分子の特異性、物質の界面ミクロ特性、非平衡場などを合成プロセスに導入することによる方法が考えられる。前者の創製法は何百万種とも言われる化学物質が既に合成されている現在、今後、飛躍的発展を期待するのは難しく、後者の材料創製法に期待が寄せられている。これはプロセッシングによる材料創製であり、化学工学が長年培ってきた種々の手法が十二分に生かせる材料創製分野である。
 化学工学会では、材料の製造プロセスの設計・制御に関する研究は数多く存在してきたが、材料創製、材料物性に焦点をあてた研究並びに研究会が比較的少ないのが現状である。しかし、材料が国家産業技術戦略の重点課題に組み込まれ、上記のようなプロセッシングによる材料創製が重要性を増す状況において、化学工学会に材料関連の部会を設置することは必要不可欠と考えられる。また、材料のナノ特性が重要視されている現在、物質の界面特性を十分に利用することが材料創製の重要な柱に成ることが予想され、次世代高機能性材料へのブレークスルーには「材料」および「界面」の両学問体系からの寄与が欠かせない。このような状況に鑑み、化学工学会に新たに設置する部会は、その名称を材料・界面部会とするのが適当であり、両者の融合がプロセッシングによる材料創製の発展に大きく貢献することが予想される。従って本部会は、材料、界面に関連した研究者、技術者、並びに関連特別研究会、研究会が中心となり、次世代の高機能性材料の創製、並びにその製造プロセスへの貢献、並びに材料、界面の研究分野の発展にも寄与することを目指して、その設立を図りたい。
本部会に関連する特別研究会、研究会としては、ゲル、CVD、晶析、機能性微粒子、塗布、界面分子集合体、微細構造などが挙げられる。これらの特別研究会,研究会は,部会に移行したあとも分科会を結成するなどして,従来の活動を続けることが保証されるが,本部会の設立により,それらの間の研究交流は従来より一層促進されることが期待される。従って,これらの研究会の会員はもとより,本部会の趣旨に関心のある多くの方々の参加を広く呼びかけたい。なお従来の化学工学会には、高分子を中心としたバルク・機能性材料に関する研究会が存在しなかったが、本部会におけるこの分野の重要性に鑑み、本分野の研究者・技術者の積極的な参加も特に求めたい。
以上

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